Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
――返辞をしたそのとたんに、ガラリとその戸が大きく開き、
「あなた織江様?」
という女の声が聞こえた。
「はい」
と振り返った織江の眼に、家内から射している燈火を背負った、粋な女の年増姿が見えた。
「では、織江様おはいりなされ」
「はい、でも、どなた様やら」
「恐かアないよ、こうはいるものさ」
「あれ!」
グルグルと年増女の手が、瞬間織江の咽喉へかかり、争う間もなくグーッと締められた。
小太刀を使わせては相当の技倆、その織江ではあったけれど、不意ではあり油断もしてい、躯も疲労れていた上に、相手の女の締めの業、冴え勝れていたからであろう、抜き持っていた懐刀を、まずボッタリと地へ落とし、織江はフーッと気を遠くした。
ズルズルと引っ張り込み、門の戸ピッシャリ閉ててしまうと、気絶している織江の躯を、女は奥へ抱いて行った。
後は寂!
カーンとしていた。
が、すぐに声が聞こえた。
「この辺から返辞が来たんだが、変だなア、いやアしねえ」
駈けつけて来た勘助が、家の外の道をウロウロと、今頃になってさがしているのであった。
その恐ろしかった切り合いの夜から、二日経った日の午後である。