Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

でもここにある「ままごと」は、二尺ぐらいしか丈がなかった。

「うえ様ままごとやりましょうヨー」

甘えたような、思慕にたえないような、そういう声でお浦はいって、箱から碗、皿、銚子、杯、箸などを次々に取り出した。

拾い集めたものであろう、どれもこれも粗末なもので、穢れてもい、欠けてもいた。

畳の上へ綺麗に並べた。

と、お浦は一つの人形を、大切そうに取り上げて、――その人形も一尺足らずの、鼻や額のところどころ欠けた、醜しい粗末なものであるが、大切そうに取り上げて、ご馳走の向こう側へそっと坐らせた。

そうしてその前へ杯を押しやり、それへ銚子の酒を注いだ。

でも何んにも出て来なかった。

「さあ、上様召しあがりませ。お浦がお酌をいたしました」

が、突然手を上げて、別のもう一つの人形を撲った。

「お前は嫌い、田沼の爺!」

撲られた田沼主殿頭は、二尺あまりケシ飛んで、古畳の上へひっくり返り、ポカーンと天井を睨み上げた。

お浦は杯を自分の前へも置き、それへ自分で酌をした。

酒も水も出て来なかった。

でも満足して口へあてた。

「上様、あなたはお気の毒なお方、瞞されているのでございます。