Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「今日は何回小言を云ったかな?」
「そこまで計算しておりませんなあ」
「いくらかでも小言が減るようにと、計算ぐらいはするものだ」
「ともうそれがお小言で」
「相手は名に負う田沼様への駕籠だ、その駕籠を暴力で奪ったのだ。与力同心を鞭打って、探しにかかるに相違ない、探し出されたら獄門磔刑、どんな極刑に処せられることか! ……そういう事は承知の上で、駕籠を奪った人物の腹、並み大抵のものではない。……」
「私としましては人の腹より、駕籠の中に何が入れてあったか、そっちの方が知りたいので」
「そいつは実はわしも知りたい」
「珍しく賛成なさいましたな」
「と図に乗るとまた小言だぞ」
こういう主従の朗らかな会話を、水色の勝った小振り袖を着、髪に浮き彫りの銀簪をさし、鈴の付いた塗りの駒下駄を穿いた、そういう姿の町娘が、少し肉が衰えて、頬のあたりなど削けてはいたが、濃い地蔵眉に鮠の形をした眼、それに玉虫のように紅をつけた唇、そういう美貌に微笑を湛えながら、その主従の背後から何んとなく足音を忍ばせて、ずっと以前からつけて来ていた。
行き交う往来の人々など、その娘の際立った風姿に、すき心を刺戟されたと見え、振り返ったり横目で見たりした。