Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「ままごと狂女、お浦という女が、隣家におるといわれるか」
貝十郎は微笑して訊いた。
(しまった!)と九十郎はまたも思った。(度を失っている俺ではあるぞ。いわでものことをいってしまった)
ままごと狂女お浦という女が、田沼邸の秘密を知っていて、市中を隠見出没して、その秘密を洩らしているらしい。捕えて来て処分しなければならない。で、田沼の手のものが、捕えようと苦心していることを、九十郎は知っていた。そのお浦が隣家にいた。そこで九十郎は考えた。
(俺は田沼殿の警護方の武士だが、俺のような人間は、いつお暇になるかもしれない。そんな時お浦を抑えていれば、そいつを囮に田沼殿を嚇し、お暇の儀を取り止めさせるか、あるいは大金を取ることが出来る)と。そこでお浦を今日まで、ひそかに養って来たのであるが、そのことを貝十郎へ喋舌ってしまったのである。しまったと思わざるを得ないではないか。
九十郎は渋面して口をつぐんでしまった。
それを見やりながら厳めしい声で、
「さて九十郎殿」と貝十郎はいった。「ままごと狂女お浦という女が、隣家にいるとはちょうど幸い、拙者これより連れ帰る。なおこれにいる織江殿をも、拙者これより連れ帰る。