Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
いかさま一人の四十恰好の男が、丘の斜面に朱に染まり、虚空を掴んで斃れてい、頬冠りをしたもう一人の男が、一軒の農家を背景に持った、疎林の中へ駈け込む姿が、陽の中に黒い点のように見えた。
「その筋の奴らか? ……何んにしても怪しい」
「殿、油断はなりませぬ」
「とすると先刻の大根かつぎの爺も……」
「はなはだ怪しく存ぜられまする」
「農家があるのう、一軒だけポッツリ……」
農家の窓を細目に開けて十二神貝十郎は丘の方を、眼じろぎもせず眺めていたが、
「あッ、やられた金蔵がやられた。……しめた、伴作は助かった! 逃げるわ逃げるわ素早い足で!」
こういってなお見入っていた。
「金蔵がやられましてござりますか」
貝十郎の横に腰をかけ、煙草をくゆらしていた百姓が――先刻大根の荷を担ぎながら、冬次郎の一行の背後から、従いて来て先へ通り越した――その百姓がそういいながら、静かに立って貝十郎と並び、窓から外を窺った。
ここは農家の広い土間で、陽が射さないので薄暗く、一所には籠に伏せた、家鶏などが飼ってあり、壁には簑、笠、合羽、草鞋、そんなものが掛けてあり、隅には鋤だの鍬だのの、道具が寄せて立てかけてあった。