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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
いと易いことじゃ、何程らでもしよう。鉄棒の刺身はいかがじゃな」
「歯ざわりの悪い、そんなものは私は真っ平でございますよ」
「それでは法蔵寺の墓地を開いて赤児の屍でも引き出して三ばいにして食わせようかい」
「まあ気味の悪い、厭なこと」
小女郎はいそいで手を振った。
「ナニ気味が悪い? これは驚いた。気の弱い人間の云うようなことを我々狐は云うものでない。ええと、それでは赤児も厭か。何をそれでは馳走しようぞ? ……よしよしうまいことを考えた。なんでも明日酒屋の小僧がこの辺を用足しに通った時、うまうまそいつを誑かして酒の一斗も持って来させて、酒宴をしようと思うがどうじゃ」
「ほんとにそれはよい考え。それに決めようではございませんか」
「それでこっちは決まったが、それではいよいよ本筋へはいって今夜の相談をしようかい」
「いくら今夜が闇の夜でも、誰かその辺に立ち聞きでもしてせっかくの工夫を邪魔されては骨折り損でございますゆえ、穢いけれど私の住居でお話しようではございませんか」
公孫樹のお夏がこう云うと、後の二人は頷いた。
それと一緒に見えていた姿が掻き消すように消え去って、銀杏の古木の辺りには暗黒ばかりが蠢いている。