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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
嫁迎え
先頭に立ったは騎馬武者で、その数およそ二十人、威風堂々と云いたいが、遺憾ながらそうは云えない。第一馬が貧弱であった。コキ使われる上に栄養不良、で、コチコチに痩せていた。しかし決して弱くはなく、険しい断崖を平気で上った。騎馬武者は甲冑を鎧っていた。しかしそれとて名ばかりで、満足なものは一人もない。ある者は甲だけ猪首に着なし、鎧も脛当てもあてていない。ある者は鎧の胴だけ着けて、甲なしの鉢巻であった。さらにある者は籠手だけ嵌めて、甲も鎧も着けていない。ひどい奴になると左の足だけへ、古びた脛当てをくっつけて、後は何んにも着けていない。さて、彼らの武器といえば、まことに珍妙なものであった。鍬に鋤に鎌に鉞に、棍棒に丸太に鉄の棒、もっとも中には槍を持ち、薙刀をひっさげ、弓を握った、そういう手合いもあったけれど、数からいえばわずかであった。この二十人は尖兵なのであった。
つづいて一団の徒歩武者が行った。七十人余りの同勢で、そうして彼らの服装も、そうして彼らの持っている武器も、尖兵達と大差がなかった。この一団は前衛隊であった。つづいて旗本の二百人が、騎馬あるいは徒歩で進んだ。