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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
二種の宝物
二種の宝物
「なに、天丸左陣殿とな? ううむ、さようでござったか……」
さすが強胆の人丸左陣もこれにはいささか仰天した。
それは驚くのが当然である。とにかく天丸左陣といえば日本に巣食っている盗賊の数、幾万人とも知れない中にあって、北方の頭目であるからであって、箱根の山に山寨を構え海道筋を稼ぎ場とし旅人を嚇し脅かしていた彼人丸左陣よりは貫禄においても上位にあるからだ。
「それにしても高名のその天丸が何用あってこんな山中に一人で住んでいるのだろう?」こう思って来て人丸は思わず不審の眉を顰めた。すると、早くも天丸はその彼の心中を察したものか、逼らず悠々たる口調をもってこんな事を云い出した。
「……どうやら某がここにいることが、不審に思われるご様子じゃな。よろしい一つ説明致そう。――お聞き及びでもござろうが、我ら北国の稼ぎ人には、『北国盗賊組合』と申す一つの組合がござるのじゃ。ところで、我ら組合の者が是非手に入れようと長年の間、望んでいたところの宝物がござる。すなわち加賀は白山の奥、ここ瑠璃ヶ岳のひと処に、その宝物は隠されてあるのじゃ。……しかるに誠に意外にもその宝物を得ようとして、単身瑠璃ヶ岳へ登ったものがござる! 他ならぬそれはご貴殿じゃ」