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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
一道の白光闇を貫く
それじゃ今日からお前さんは、我らの頭目という訳だね?」
「頭に不足がもしあるなら……」
「なんの不足がございましょう。立派な立派なお頭様じゃ」
「そう決ったらそれでいい。さて今度は右門殿じゃ、いざその大岩を持ち上げられい!」
一道の白光闇を貫く
邪法を用いて巨大な柱を引き抜いたとは夢にも知らず、右門は五右衛門の強力を心窃かに嘆じながら、今は遁がれぬ必死の場合、両手を岩に打ち掛けて、金剛力は出しても、地の中深く喰い込んだ苔蓬々たる孕石は、身弛ぎ一つすればこそ。
八百万の神々を念じながら、流るる汗を押し拭い、二度三度押せど引けど、動かぬ岩は動かばこそ、精さえ根さえ尽き果てた。
「いかがでござるな右門殿、岩は微動さえ致さぬ様子、力は五右衛門の勝ちでござる。もうお止めなされ、お止めなされ!」
五右衛門は云いながら嘲笑う。右門は再び立ち上がり、動かぬものとは知りながら、大岩にひしと抱き付き、「この岩もしも上らぬものなら、五体を岩に打ちつけて、微塵になさん」覚悟を極わめ、焔の呼吸を吐きながら持ち上げ持ち上げするほどに、神の祐けか変化の業か、さしも動かぬ大岩が、地下より何者か押し上ぐるように、次第次第にセリ上がる。