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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
自由の天地へ
芳江は思わず寄り添ったが、
「それではあなたもご勘当……?」
「はい勘当されました」
オースチン師も進み出た。
「して、勘当の理由と云うは?」
「芳江様との悲しい恋が、計らず父に感付かれ……体一つで追い出されました!」不覚に流れる涙を拭い、「いずれは他国へ落ちて行き、ともかくもなる身の上ながら、芳江殿のお姿一眼なりとこの世の名残りに眺めんものと降り積もったる谷の雪を、嵐に吹かれ迷いながらここまで辿り参りました」
疲労と寒気に五体剛ばり彼はバッタリ膝を突いた。
自由の天地へ
弾正太夫は笑止気に、椅子に腰掛け聞いていたが、この時カラカラと哄笑した。
「聞けば聞くほど未練な小冠者! 磔柱に掛けるも槍の穢れ! よいわ、許してやるほどに、芳江を連れて立ち去りおろう!」
「え、それでは芳江様を、この某に賜わるとか?」
「くれはせぬ。やりもせぬ。芳江は勘当の身の上じゃ、誰と行こうと、どこへ参ろうと干渉わぬというまでじゃ!」
オースチン師はそれを聞くと、頷きながら進み出て、芳江と市之丞へ云うのである。
「何も悲しむことはない。もはや誰にも遠慮はいらぬ。若い者同志が巣から立って、自由の天地へ飛び出すのじゃ。