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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
地下道をゆく
しかしああいう別嬪になると私どもの手には入りませぬので」
「では何者の手に入るのじゃ?」
「申すまでもなくご城主様の手へ」
「ははア武者所鬼王丸の手へか?」
「ハイ、さようでござります」
オースチン師はそれを聞くと不安らしい表情を眼に見せたがすぐに威厳を取り返し、
「これ我こそは天帝の神じゃ。嘘や偽りを申してはならぬぞ。でお前に尋ねるが、よもや芳江姫は鬼王丸のために操を破りはしないであろうな?」
「今日までは確かでござります。無垢の処女でござります。しかし明日は解りませぬ。いや明朝明けの鐘と共に鬼王丸の若い寵姫になられる筈でござります」
地下道をゆく
それを聞くとオースチン師は思わずハッと顔色を変えたが、すぐに一層冷静になり、グッと白虎太郎の顔を睨み、相手の頭上に両手を延ばしそれをグルグル廻わしたが、これぞ眠りを深くする術で催眠術の一手なのである。
「ふうむ、明朝明けの鐘と共に鬼王丸めは芳江姫を妾にするというのじゃな。そうしてそれは云うまでもなく無理に妾にするのであろうのう?」
「いいえさようではござりませぬ。自分から望んで芳江姫の方からそうすることになりましたので」