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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
四天王を従えて
いやとんだ所へ来てしまったぞ」
もう少し様子を調べようとオースチン師は廻廊をズンズン左へ歩いて行った。と廻廊は突き当たり、三人ばかりの衛兵が、槍を握りながら立っていた。老師を見ると恭しく、一斉に一揖したものである。
「や、これはこれはご叮寧に……」老師は微笑を湛えながら衛兵達へ挨拶したが、隊長と覚しい一人の武士へ慣れ慣れしい口調で話しかけた。「よい天気ではござらぬかな。おおよく朝陽が射し込みますな。するとこの廊下は東向きじゃの?」
「はい、東向きでござります」
恭しい調子で隊長は云った。
四天王を従えて
こんな事を云いながら尚老師は慣れ慣れしい態度を続けたが、
「ところで私達の住んでいるこの素晴らしく立派な城砦は、岩石ヶ城全体としてどの方角に当たっているかの?」
「東北の方角に当たっておりまする」
「して本丸はどの方角じゃ?」
「城の中央にござります」
「城砦の数は幾個ござるの?」
「は、四つござります」ここまで答えて来て隊長はにわかに固く口を噤んだ。喋舌り過ぎたと思ったからである。
オースチン師がどのように訊いてももはや一言も答えなかった。で老師は引き返したが心の中には岩石ヶ城の大略の図形が出来上がっていた。