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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

香具師の一行

その日はついに里へも出ず、木の葉を焚いて暖を取り一夜山中で野宿をした。

ちょうど真夜中と思われる頃、山の下から一隊の人馬が、賑やかに談笑を交わせながら、登って来る音に眼をさまし、数馬はがばと刎ね起きた。

見ると不思議の一隊である。武士とも見えず農民とも見えぬ。と云って山賊の類でもない。女を混えて五十人余り、あるいは騎馬、あるいは徒歩、または車を曳く者もあり、そのまた車に乗っている者もある。

そしてその風俗の奇怪なことは!

香具師の一行

全く奇妙な風俗である。一人の男は赤い頭巾に赤い袖無しに黄色い雪袴、小さい刀をぼっ込んでいる。もう一人の男は猪の胴着に義経袴を裾短かに穿き猟師頭巾を冠っている。そうかと思うと一人の女は、鬱金の手拭いで鉢巻をし、赤い襷を十字に綾取り、銀色の縄で熊を結え、それを曳きながら歩いて行く。もう一人の女は車の上の金網を張った木箱の中を面白そうに覗きながら悪態口を吐いている。箱の中には幾匹かの猿がキーキー声を上げて狂っている。鶏を入れた籠を持った男。衣裳籠を背負った女。赤児もいれば子供もいる。

いずれも皆な暢気そうに、無駄口を叩いて歩く様子が、滑稽でもあれば凄くもあり、鳥羽僧正の百鬼夜行図が動き出したような有様である。