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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

そのうちに父母が相続いてこの世を去ったのをよい機会に、私の家を横領して、田地田畑一切のものを自分の物にしてしまうと、自分から藪原の長者と名のり、諸国の人買いと結託し、ただ今のような盛大な、遊女屋を開いたのでございます。しかるに私は、小さい頃から、無頼の性質でございまして、暴れ者などの頭となって、仁侠の真似など致しますのが、何より好きでございました。そのため親の手もとをさえ、幼い時に離れまして、諸国を歩いておりましたが、今からちょうど五年前、この地へ帰って参りましたところ、今申したような有様で、私の家は横領され、両親も逝くなっておりました。そこで私は口惜しがって、度々藪原の長者のもとへ怒鳴り込みに行ったのでございます。しかし長者は私などより、役者が一枚上のために、そのつどうまうま騙されて、空しく帰されてしまいました。そのうち私は、この白萩と深い仲になったのでございます。白萩と深くなってからは、藪原長者と掛け合って、家財を再び取り返そうなどとそんな事は思わなくなりました。ただ逢いたいと思うばかり。すると長者はこの二人の仲をさえ裂こうとするのでした……」