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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

それでは俗に野師という、あの連中のことであるか?」

「へいへい、その野師でございます」

「そうして今頃どこへ参る?」

「伊那の飯田に参ります。そこで興行致しますので」

数馬はちょっと頷いて、

「そうであったか。そうとも知らず、とんだ止めだて致したの」

「えーと、ところで旦那様は、こんな夜中にこんな山中を、どっちへいらっしゃるおつもりで、道にお迷いなさいましたな」

「どこへ行くという目あてもなく、人里へ出たいとこう思って、むやみと歩いておったのじゃよ」

「なるほど、さようでございましたか」

「一番近い人里へはどの道を行ったらよかろうの?」

「一番近い人里と申しますとやはり飯田でございますな」

「さように飯田は近いかの」

「一番お近うございます――いかがでございましょう旦那様、私達とご一緒にその飯田へこれからお出でなされては?」

「野師のその方達と一緒にかな」

「旦那は野師野師とおっしゃいますが、野師とて人間でございますよ」

「いやいや野師と云ったとて軽蔑をしたわけではない。ただ何気なく云ったまでじゃ……それではいっそその方達と一緒に飯田の城下へ参ろうかの」

「それがお得でございます。