轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

そうして妹のお前の身はこの部落から追い出され、息ある限りこの土地へ帰って来ることは出来ない筈じゃ」

「それでは二人はどっちみち昔通りにはなられませぬか……」

「潤んだような春の月も、泣いているような朧ろの空も、こうやって二人で見ることは未来永劫もうあるまい……」

二人はひしと抱き合った。この一刹那の哀楽をいつまでも逃がすまいと二人で取り縋っているかのように、砕けるばかりに抱き合った。厳として存する谿谷の掟。もしもそれさえなかったなら愛し合っているこの二人は、このまま部落を抜け出して他国へ走って行ったかもしれぬ。

とは云え一旦縁あってこの谿谷へ足を入れ弾正太夫に臣事したものは、義理の柵と慈悲の縄に体を十文字に縛られて身動きの出来ないその上に、厳かの掟に頭上を押され、許可なくては出るも入るも己が自由にならないのであった。

二人の悲しい宿命をさながら形に現わしたように、風なきに桜花が繽紛と散り、肩に懸かり裾に乱れ二人は落花に埋もれようとした。

無心に歌う夜鳥の声。コトコトコトコトと川瀬の囁き。やがて静かに糸を曳き歔欷する声の聞こえるのはお吉の洩らす泣き声であった。