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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

玲瓏として玉のよう

金よ! 銀よ! 金よ! 銀よ! よしよし思うさま泣くがよい! 俺がその中地の下からきっと掘り出してやるからの!」

云い云い彼は林を分けてどこへともなく行ってしまった。

「いや大笑いの頂上じゃ! がしかし同じ白痴にしてもああいう馬鹿は罪がない。愛嬌があって面白い」

「金よ銀よ、金よ銀よか、ほんとにとんだ愛嬌者じゃ」

口々に坑夫達は戯言を云って坑道の方へ歩いて行った。

間もなく坑道の奥の方から爆発の音が聞こえて来た。谷々にこもってその音は雷の鳴るがようにと響くのであった。

玲瓏として玉のよう

日も次第に暮れて行って、夕月が山の端に懸かるようになった。

昼の勤めの坑夫達はとうに家路についてしまって、夜の勤めの坑夫ばかりが持ち場持ち場で働いている。

全山はさすがに静かであった。

熔鉱炉を据えた仕事場を正面に控えて山の中腹に巍然として聳える巨大な建物は、この鉱山の一切の事を一手に扱う大機関で――すなわち今日の山事務所で、その頃は吟味所と呼んでいたが、その吟味所の大建物も、今は静まり返っていた。

と、吟味所の裏木戸が、内から窃かに開けられた。つと現われた人影は、どうやらうら若い女らしい。