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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

理窟が多いという事じゃ」

「殿! あなたもよいお人でござる」オースチンも笑いながら云い返した。「しかしただ一つ欠点がござります。理窟がお解りにならぬことじゃ! まあまあ黙って私の言葉をしばらくお聞きくださるよう――さて、そのように過去においては沢山に出た鉱石が、そもそも何んの理由によって今日出ぬようになったかと申すに、それには深い訳がござる」

弾正太夫は審かしそうに、オースチン師の顔を見た。その眉は幽かに顰んでみえる。

「してその深い訳と云うは?」

「それは他でもござりませぬ。殿が天意に背かれたからでござる!」――こう云った老師の言葉には恐ろしい力がこもっていた。

彼は矢継ぎ早に云いつづけた。――

「と申すのは他でもござらぬ。すべて人間と申すものは、『自然』と闘わねばなりませぬが、『人』と闘うてはなりませぬ。これを砕いて申し上げますと、山を掘って金を取るのはすなわち『自然』と闘うことで結構なことでござりますが、船津のご領主神保帯刀様と兵を構えて戦われることは『人と人との闘い』でござって天意に背いておられます。かように天意に背かれたことを憚らず行われる殿に対しては、天神も地神も赫怒なされ必ず福は授けますまい。