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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
――どりゃこの隙に城の要害を少しなりとも調べることにしよう」
オースチン師は立ち上がり、背後の板戸を引き開けた。板戸を出ると廻廊であって、廻廊に添うて鉄の格子が厳重に無数に植えてある。覗いて見ると格子の外は城の中庭になっていて、数十丈の絶壁が垂直をなして、この建物を支えている。鳥か猿か死ぬつもりでなければ絶壁を伝って下りることは出来ない。下りたところで逃げることは出来ぬ。中庭に番兵がいるからである。豆のように小さく見えているその番兵は槍を持ってこっちを見上げている。
その中庭を囲繞して三つの城砦が立っていたが、三つとも巨大な角窓を中庭の方へ向けている。そして番兵が立っている。そこから大石でも投げ下ろそうものなら、幾百人であろうと中庭にいるものは皆殺しにされるに相違ない。
「なかなか巧みな築城法じゃ」
オースチン師は呟きながら尚じっと城砦を眺めやった。そうして心で呟いた。
「これは容易には逃げられぬわい。恐らくこういう築城法によって造り上げられた四個の城砦が城の四隅にあるのかもしれない。もしもそうならこの岩石ヶ城こそは『四四本丸』と俗に云われている迷宮式の大城であって、守るに易く攻むるに難い。