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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
オースチン師はこう云いながらじっと白虎太郎を見詰めたが、「エイッ」と鋭い気合を掛けた。白虎太郎はビクリとしたが体の顫えはそれで止まった。
「何も恐ろしい事はない。天帝の神が付いている」老師は力を付けるように厳かの口調でこう云いながら、両手で相手の肩を抑え、「それにしても何が恐ろしいのじゃ?」
「この十字路を左へ曲がりますとそこに土牢がござります」
「おおもう土牢へ着いたのか。それは何より有難い」
「その土牢には十二人の牢番がいる筈でござります」
「おおさようか。それがどうかしたか?」
「この私が先に立って皆様方を案内し土牢へ参ったということが、牢番どもに知れましたなら必ずこの事を我らが主人鬼王丸殿まで上進し、私は即座に鬼王丸殿のために首を斬られるに相違ござりませぬ」
「ははあさようか、それを恐れたのだな。なるほどそれはもっともじゃ。そういう訳なら案内は不用。お前はここで待っているがよい。……さて、数馬殿、お気の毒じゃが、腕を揮っていただかなければならぬ。我々二人が土牢へ近付き牢番どもを幻灯で嚇し市之丞殿を助けると致そう」
「私の力の及ぶだけは奮闘致すでござりましょう」