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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「そうともそうとももっともの話じゃ。では出かけると致そうかな。ところで私の幻灯機械はどこへ行ってしまったかな。や、これは無残千万彼奴らの足に踏まれたと見えてぺちゃんこになって潰されておるわい」

落胆したらしい様子を見て数馬は酷く気の毒になり、

「誠に残念でござりますな。破片を拾って持ちかえり組み立てることはなりますまいかな」

「そんな事はどうでもよい。どりゃポツポツ出かけましょうかな」

「では私が先頭に立ち、行手を遮る者があったらまた一太刀揮うことにしましょう」

「ご苦労ながらお願い申す」

三人は部屋を出ようとした。

と、にわかに芳江姫が、

「市之丞様はどうなされました※(感嘆符疑問符、1-8-78) お姿が見えぬではござりませぬか※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

血を絞るような声で訊いた。

これには数馬もオースチン師も何んとも返辞が出来なかった。二人はチラリと眼を見合わせると愁然として首垂れた。

恋する女というものは、その恋人の身の上についてはきわめて敏感なものである。早くも二人の様子によって恋する市之丞の身の上に善くないことが起ったことを、芳江姫は察したのである。