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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
カッと大眼を見開いて彼は人丸を睨むようにしたが、俄然柔和の表情に返り、
「いや、このように申したところで決して貴殿には罪はござらぬ。で、別に苦情は申さぬものの、永年心に掛け来たったその霊妙の宝物を横取りされるも残念と存じ、実はここまで間道を伝って貴殿の後を追って来たのでござるよ。……ここへ参ってから今日で十日、貴殿のおいでを待ちかねていたのじゃ。アッハッハッ」
と磊落に、天丸は哄笑したけれど、すぐその後から陰険の眼付きをして、ジロジロ人丸を見るのであった。何か様子が小気味悪く油断出来難く思われるのである。
天丸はしばらく物を云わず白い眼ばかり光らせていたが、やがて物々しく声を窃め、
「さて、ここにご相談がござる。と申すは他でもない。我ら両人同盟になり敵に当たろうではござらぬか。と云ってこれは某の方より無理にお願いするのではござらぬ。貴殿と同盟になることは某の方より見る時はむしろかえって歩が悪いのじゃ。なぜと申すに貴殿においてはこの地へ参ったのは今回が最初。しかるに某はこの土地へはこれまで幾度となく来ているのでござるよ。したがって地の利には詳細うござる。