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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
三太夫はこんな冗談を云う。
「いやいやもっと長い髪の毛のな」オースチン老師も笑いながら云う。
「ははあそれでは鬼王丸かな?」
「これは不思議。どうしてご存知?」
「鬼王丸なら灰になりました」
「え!」と云って四人の者は三太夫の顔を見守った。
「さよう、灰になりましたよ。そこに積もっているわずかな灰、それが彼の形見でござる」
四人の者はつかつかと進んで灰の周囲を取り囲んだ。
「彼もとうとう灰になったか」御嶽冠者が嘆息した。
「積悪の酬い、因果応報」こう云ったのは老師である。
「草木成仏、南無阿弥陀仏」東条数馬は合掌した。
岩石ヶ城へ
御嶽冠者は威儀を整え、三太夫に向かって一礼したが、
「お見受けすればここら辺りのご住民とも見えぬご風貌、いかなるお方にござりましょうや。かく申す私は御嶽冠者と申す者。ここにおられるはオースチン老師、また数馬殿、筑紫権六」
「ほほう、そんならあなた方はいずれもご高名の人物じゃ。名も噂もとくより承知。……おおこの老人でござるかな、私は百地三太夫というもの、ここにおるは弟子の才蔵、なにとぞお見知りくださるよう」
気さくではあるが叮嚀に百地三太夫は礼を返した。