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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「兵糧だって多かろう」

「兵糧だけじゃ戦は出来ねえ」

「義仲以来の名門だ。木曽家には味方も多かろう」

「四面敵でございますよ」

「忠臣義士だってある筈だ」

「みな裏切ってしまいました」

「なに裏切った? そりゃ本当か?」

「木曽家の謀士花村甚五衛門はとうに退去してしまいました」

「そりゃあ聞かずとも知っている」

「洞院左膳も謀反しました」

「うん、それも知っている」

「後に残った家来のうち、骨のありそうな人間は、一人去り二人去り、みんな立ち去ったということで」

「そうは云っても木曽は大領、千や二千の兵はあろう」

「そりゃあ集めればありましょうが、いずれ烏合の衆ばかりで」

「俺らだって烏合の衆だ」

「木曽の奴らよりゃあマシですぜ」

「そんなに彼奴らは弱いのか」

「家来の大半は女だそうで」

「そんなに女が多いのか」

「後宮の佳麗三千人で」

「馬鹿、そいつあ阿房宮の賦だ」

「だから阿呆でございますよ」

「厭な野郎だな、洒落を云っていやがる。……ところで美人も多かろうな」

「素敵な別嬪がいるそうで」

「義明め、好色漢と見える」

「ちょうど天丸の頭のようで」

「えい、こん畜生、つまらねえ事を云うな!」

「ウッフフ、云いすぎたかな」