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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

傾城のお銀

云わずと知れた駈落ち者、お銀、粂太郎の二人である。

「お銀」

「粂さん」

も小さい声、手を取り合って街道を、小千谷の方へ小走って行く。

ものの一、二里も来た頃である。

「やい待て!」

と行手から現われたのは、雲突くばかりの大男、しかも五人大手を拡げ、道の真ん中へ突っ立った。

「あれエ!」

とお銀は悲鳴を上げ、粂太郎の胸へ取り縋る、それを背後へ囲いながら、

「何かご用でございますか、少し道を急ぐ者、お通しなされてくださりませ」

顫えながら粂太郎は云った。

傾城のお銀

「用があるから止めたのよ。汝らアたしかに駈落ち者、うめえ事をした罰に、これから辛え目を見せてやる! やい俺らを何んだと思う! 様子でも知れよう泥棒様だ! 地丸左陣の手下だわえ!」

「ええ、それじゃ黒姫山の?」

「うんそうだ、黒姫山に、山寨を築いて住んでいる地丸左陣の乾児の中で、名を知られた双六の六太だ」

「同じく骨牌の花九郎だ」

「猩々の酒兵衛」

「鎌髭の権」

「太鼓の胴左たア俺の事だ」

「見込んだが最後許しゃしねえ」

「野郎は身包み剥いだ上」

「谷へ蹴落とし狼の餌食だ」

「阿魔は夜目にも美しいから」

「佐渡の人買いへ売り渡す」