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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

誠の使者か贋物か、どれちょっと隙見してやろう」

地丸左陣は立ち上がると襖を開けて廊下へ出、その廊下をツカツカと進み、鉤手に曲がる曲がり鼻に立って、玄関の様子を窺った。

使者と見えて一人の人物――年は若く眉目清秀衣裳大小もまことに美々しい、立派な武士が大刀を提げ今玄関を上がるところであったが、その後につづいて現われたのは、匂うばかりに美しいまだ妙齢の乙女であった。裲襠姿眼も眩く、足の運びも水際立ち武士の後から歩いて行く。二人の姿が奥へ消えると、鳥市の云った進物なのであろう、十個の大行李が次々に奥の方へ運ばれる。

「益※(二の字点、1-2-22)解せない、不思議千万」

地丸左陣は肩を聳かし唸るかのように呟いたが、

「いかさま立派な武士の様子、使者と云えば使者にも取れるが、また胡散にも思われる。それに美貌のあの乙女、処女とはどうしても受け取れぬ。……とまれ衣裳を改めて、客殿へ伺候するとしようか」

部屋へはいって手を拍つと、隣りの部屋から婢女が恐る恐る現われた。

「式服を持て」

と云い付ける。衣裳を着替え大小ぶっ込み、やおら廊下へ立ち出るとバラバラと現われた手下の猛夫ども、「従いて来るにゃ及ばねえ」