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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「はあなるほど。してそれから?」

「着物も粗末でございます」

「ははあなるほど。してそれから?」

「余りに労働が劇し過ぎます」

「ははあなるほど。してそれから?」

「もう少し各自の自由ということを、考慮て戴きたいと思います」

「各自の自由とおっしゃいますと?」

「労働時間の制限とか、一月に五度の休養日とか、そういうものをお設けください」

「ははあなるほど。よく解りました。もうそれだけでございますかな?」

「娯楽機関の設置なども是非必要でございます」

「これでは全然お客様だ。はいはい、それだけでございますかな?」

「まだまだ沢山ございます」

「これは驚いた、恐縮千万……」

「一切圧迫はいけません。故郷へ帰りたいと云う者は故郷へ帰さねばなりません。結婚したいと云う者には結婚させねばなりません。何も彼も一切自由意志で、行動させねばなりません」

「姫!」と遮らざるを得なかった。

「ここは山寨でございますぞ。浮世の外でございますぞ」

「いえ」と小枝は微笑しながら、「浮世の外ではございません。立派な浮世でございます。二人以上の人間が集まり住んでおりますからは、やはり社会でございます」

「しかし私は盗賊です」