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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

そこで激戦が始まった。

つまり戦いは五の木戸の辺と、水晶山の附近とで、激しく行われているのであった。

さて勝敗はどうであるか? 水晶山の方面から順序を追って話すことにしよう。

「やあやあ敵はタカの知れた水晶山の人夫どもだ! 一揉みに揉んで揉み潰せ!」

千坂杢之介は馬上に突っ立ち大音声に呼ばわったが、敵が意外に強いので自分ながら不安になった。

「どうもこれは不思議だな。烏合の人夫とは思われない。険に寄って姿を隠し、大石大木を投げ下ろす様子が秩序立っていて隙がない。右京次郎とか云う小伜奴、多少兵法にも通じていると見える」

この時、山の峰続き、南の方角の木の間隠れに点々と松火の火が見えた。見る見る中に数が増し、三百余りの数となり、峰越しにどこかへ落ちるらしい。

「これはどうだ! これは不思議!」

杢之介は仰天したが、

「ははあさては詭計だな。これは詭計に相違ない。人夫の数は三百人、それに眼前の水晶山にも百人や二百人はいるらしい。……つまり彼奴らは火で嚇し、我々の兵を二分させ、勢いを弱めようとしているのだな」

一隊飯山城下に入る

さすがは老巧の杢之介、迂濶に詭計にはかかりそうもなかった。