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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
が泣きながら、「返せ」と叫んでいる! しかも盗まれた品物といえば、古風な勾玉と管玉だという! そうして二人の乙女はといえば、白の浄衣に緋の袴を穿き、髪をみずらに取り上げている! 巫女さながらの姿である!
さすが大胆な鳰鳥も、一種の鬼気に襲われて、彼女は思わず呟いた。
「いったいここはどこだろう? 駒ヶ岳には相違あるまいが、いったいなんという所だろう? そうしていったいこの乙女達は、どういう身分の者だろう? ……妾は木曽へ帰りたくなった」
乙女達はいつまでも泣いていた。悲しそうに悲しそうに泣いていた。そうしてその声は谷にこもり、また山々に反響し、木精となって返って来た。
と、急に乙女達は泣き止んだ。それから一人がこう云った。
「ね、参りましょうよ、また明日」
するともう一人が頷いた。「ええ参りましょうよ、また明日ね」
で、二人は歩き出した。しかし気がついて立ち止まると、鳰鳥の方をじっと見た。
「お美しいお方でございますこと。……どちらからおいででございます?」一人の乙女がこう云ったが、その声には一種の威厳があった。
「ハイ」というと鳰鳥は、思わず軽く一礼した。