轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
輿の中へ
それは老女の声であった。
「誰?」と姫は訊き返した。「ああお前は織子だね」
「はい、さようでございます。開けましてもよろしゅうございましょうか?」
輿の中へ
「ああいいとも、はいっておいで」
やがて老女がはいって来た。それは大奥の取り締りをしている、織子という女であった。
「何か用なの?」と姫は訊いた。
「はい、他でもございませんが、里から参りました鳰鳥とかいうお方に、山津主様がお目にかかりたく、召し連れ参るよう申されましたので」
「ああそうかえ」と姫は云ったが、チラリと鳰鳥を振り返った。「ではね、少しの間待っておくれ。ちょっと化粧を直させますからね」
織子が部屋を出るのを待って、姫は部屋の戸へ錠を下ろした。
「また誘惑が参りました。でもご心配には及びません。いい幸いでございます。妾が身代りに参りましょう。山津主が呼ぶのではございますまい。父が呼ぶのでございましょう。いやな父でございますわね。……さあ着物を取り換えましょう。妾があなたの着物を着、父の面前へ出て行きます。そうして父を叱ってやります。びっくりすることでしょう。ほんとにいい気味でございますわ」
「でも」