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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

城を囲んで市街があり、市街は群集で一杯であった。

遁がれることは出来そうもない。

しかし鳰鳥は恐れなかった。

「どうやら少し呼吸が逸む。ちょっと体を休めるとしよう」

呟きながら、鳰鳥は、指で地面へ円を描いた。

「ここは妾の安息所、人の出入りを禁じます」

それから地面へ横になった。

不思議なことが行われた。

追っかけてきた連中に、鳰鳥の姿は見えなくなった。

倶係震卦教の円環隠身が、そこに施されてあるからである。

獣人の領地

彼女は楽々と横になり、とるべき方法を考えた。

「美麻奈さんは可哀そうだ。どうしても助けてやりたい」

彼女は色々考えた。

「他にしようもなさそうだ、黄泉の岩根の獣人国へ、妾自身出かけて行って、あいつらの手から盗み出して来よう」

坂を下りて町の方へ行ったが、間もなく姿が見えなくなった。

ここは獣人の領地である。

すなわち黄泉の岩根であった。

宵闇が天地を閉ざしていて、無数に灯火が輝いていた。

小さな小屋がギッシリと、くっ付き合って並んでいて、家内にも戸外にも人がいた。老人、老女、若者、娘、子供もいれば赤ん坊もいた。もちろん若い女房もいた。

まるでウジャウジャと虫のようであった。