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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

うと心掛けたところ、お六のためにあべこべに、刺し殺されてしまったのであった。

そうしてお六はどさくさまぎれに、逃げ去ってしまったということである。

――こういう話をはなしながら、百地三太夫と鳰鳥とが、御嶽山中を頂きの方へ、敢えて尺地術を使おうとはせず、四辺の風景を眺めながら、悠々と上って行ったのは、その翌々日のことであった。

その御嶽山の頂きの、御嶽冠者の砦には、岩石ヶ城から帰陣した、御嶽冠者がオースチン老師や、神保市之丞や東条数馬や、芳江姫や石川五右衛門や、また筑紫権六や、岩石ヶ城の兵どもや、裸体武兵衛や霧隠才蔵や――それらの人々と籠っていて、鳰鳥の来るのを待っているのであった。

晩秋の山中の美しさ! わけても御嶽山には薬草多く、その薬草が花を咲かせ、虹のような美しさを見せていた。

紫は南葵の花であり、紅きは唐桃の花であり、黄なるはオランダ美女草の花で、それらの薬草の花の敷物を、抽んでて空に聳えている木々の葉は紅葉し黄葉して、エメラルド色の空を飾り、崖には滝が白布をかけ、谷には谷川が銀線を延べ、それを昼の日が照らしていた。

そういう山中を歩きながら鳰鳥の考えたことといえば、