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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
恐れるところはございません」勢い込んで云うのであった。
「いや」と武士はそれを抑え、「打ち果たすぶんにはそこもとや乾児衆の力を借りは致さぬ。拙者が必ず討ち取り申す――しかるにそれが出来ないのじゃ」
「そりゃまた何故でございますな?」
如来衛門は眉をひそめた。
「彼らが刀を抜かぬからじゃ。彼らが敵対せぬからじゃ」
「敵対せぬとおっしゃると?」
「どうでも彼らはこの某を生捕りにしようとしているのじゃ!」武士は沈痛に云うのであった。
「言い換えると彼らはこの某を降参させようとしているのじゃ!」そこで苦々しく笑ったが、
「そうして置いてこの某を、彼らの籠る山砦へ連れて行こうとしているのじゃ」
「へーい、そうやって連れて行って、どうするつもりでございましょう?」
「妻に対面させるそうな」
「何? 妻ですって? どなたの妻?」
「云うまでもなく拙者のだ……」
「さあどうもこいつア解らなくなった――するとあなた様の奥様が――どういうお名前か存じませぬが、そのあなた様の奥様がその山砦におりますので?」
「捕虜となっておるそうな」
「こいつあ、いよいよ解らねえ――そしてそりゃまたいつの事で?」