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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
迫れる武者之助
赤誠を面に現わして、如来衛門は云うのであった。
右門もその義気には感じたが承諾おうとはしなかった。
「そなたの厚意忘れはせぬ。がしかし拙者も武士であれば自分の災いを赤の他人の、しかも町人のそちに移すは何とも心苦しいことでござる。ただ運命を天に任せて、彼の山賊らと相対し、ここにこうやっているつもり、構わずそこもとは帰られよ」
こう云い切ると花村右門はきっと林の方へ眼をつけた。
迫れる武者之助
如来衛門はそれを聞くと返す言葉も出なかった。これもしばらく黙然と林の方を眺めるばかり、腕をこまねいて立っていた。
林の中の一群は、大日武者之助を先頭に、しずしずとして此方へ近寄って来る。静かではあるが執拗に蛙を覗う蛇のように、きわめて悠々と迫って来る。
如来衛門はそれを見ると、もうじっとしてはいられなかった。思わず拳を握ったが右門の姿を見ると、握った拳をまた開いた。
「そうだ!」
と、何を思ったか、如来衛門は叫んだが、そのまま右門を捨てておいて一散に町の方へ走って行った。
その間も武者之助の一群は、次第次第に近寄って来た。そして間近くなった時、武者之助は右門を呼びかけた。