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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
広い屋敷の構内であった。
これほどの事件が起こっても、建物の中で酔い乱れ、戯れている人々にはわからなかったと見え、無数の建物から無数の人声が、陽気に華やかに聞こえて来た。
(探さねばならぬ)
亭の蔭から出た。
そこを目掛けて二人の花四天、さっきから地に伏し狙っていたが、声も掛けず斬り込んだ。
キリキリ! 宙で、大薙刀を!
廻してサーッ!
「ギャーッ」
仆れた!
足が胴からもげていて、夜目ながら大巾の血の河が、二筋流れ出、地をぬらしている。
眼にも止まらぬ早業で、石突きを返したと思ったが、もう一人の花四天の剽軽な姿が、月へ上がって行くかのように、空でハッキリ大の字を描いた。
落ちて来たところを刃の先でとどめ!
「不愍ではあるが……」
と呟いて、血にぬれた薙刀を肩にかつぎ、物の具ユサユサとゆすり上げたかと思うと、
※(歌記号、1-3-28)熊坂思ふやう、ものものし其の冠者が、斬るといふともさぞあるらん、熊坂秘術を奮ふならばいかなる天魔鬼神なりとも、中につかんで微塵になし……
と、朗々と「熊坂」を謡い出した。
と、その熊太郎の声に答え、築山の彼方西の方から、