轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
十六
(噂に違わぬ化物屋敷! これはたまらぬ、いたたまれるものか!)
悪業深い彼だけに、この種の恐怖には脆かった。
表庭へ飛び出した。
外は明るく陽があたっていた。
と、彼の恐怖心は、瞬間雲散霧消した。
(この弱気! 何を馬鹿な!)
右の外れの廃屋の中へ、――範之丞とお吉の籠っている家へ、九十郎は踏み入った。
十六
手を取り合い背をかがめ、範之丞とお吉とは裏縁から、裏庭へ飛び下り丈なす草の、枯れ草の中を歩いていた。
最初には女の声が聞こえ、つづいて男の声が聞こえた。
そう、隣りの廃屋から。
そうして間もなく男の声の、主らしい者がけたたましく、庭へ飛び出した物音を聞いた。
これはあぶないとそう思って、二人は裏庭へ出たのであった。
中の家の裏口まで来た。
何がなしに恐ろしく、はいって見る気にならなかった。
二人はソロソロと先へ進んだ。
左の外れの家の中には、紐を解かれて自由になった織江が、嬉し涙をこぼしながら、お浦をひしと抱き締めていた。
「お礼は海山! ……何んと申してよいやら! ……それにいたしてもお浦様が……江戸にいるはずのお浦様が……まあまあまあこのようなところに※(感嘆符疑問符、1-8-78) ……事情は後で後で聞きます! ……今は必死、大事の場合! ……敵討たねばなりませぬ! ……お父様ばかりか兄上をも、湖水