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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页

青空文庫

二

それにしても江戸の同心が、管轄違いの信州路などへ、どうしてやって来たのだろう? これが不思議でならなかった。

駕籠を警護して行くようだが、二人の同心が警護して行く駕籠、それが罪人でない限りは、中に乗っている主人公は、特殊の人間と云わなければならない。

二人は佇んで見送った。

と、二人の横を通って、きらびやかな女乗り物が行った。立派な武士達がお供をしている。

と、その駕籠の同勢と、二挺の駕籠の同勢とが、二人の眼の先で一緒になった。

揃って下諏訪の方へ行くのであった。

「二挺の駕籠が三挺になった。……新助いよいよ変なことになったぞ」

「あいつら確かに仲間同士だな」

「新助さんに外伝さん、何をぼんやりしていなさんす」

この時優しい女の声で、こう背後から云うものがあった。

驚いて二人は振り返って見た。

勘助が立っていた。

「お勘か! チェッ、気味の悪い声を出すな」

云ったものの外伝は首を縮めた。

側に冬次郎と熊太郎と清三郎がいたからである。

「新助エー、いけねえ、凄いことになったぞ」

「蜆っ貝の掘りそこない、オイこいつ内緒だぜ」

二人の囁きなど問題にせず、冬次郎は前方を見詰めていたが、