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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页

青空文庫

十

この時廊下を走って来る、人の足音が聞こえたが、白須源吾の声がいった。

「暴徒ら寄せましてござります」

門の方から喊声がきこえた。

十

「暴徒が寄せた※(感嘆符疑問符、1-8-78) おおそうか、門をひらいて招待しろ! 俺が行って門をひらいてやろう!」

やぶれかぶれの意次であった。

「殿、はしたのうござります」

と、引き止める貝十郎の手を振り払い、扉を排し廻廊へ出た。

と、あけられた扉の間から、パーッと射し出た燈火の光に、全身を明るく浮き出させ、男女が庭に立っていた。

「殿、九十郎にござりまする」

男の方がそういった。

「ナニ九十郎※(感嘆符疑問符、1-8-78) やア、やア、やア……まことに九十郎! これは何んと※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

意外も意外だった今しがた、探し出せといった臼杵九十郎が、自分の方から来たのであった。

「おお九十郎、九十郎、何んということだ、これは何んと※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「不調法にて殿よりご勘気受け、爾来九十郎諸国を流浪し、つぶさに艱難いたしましたが、殿にとりまして必要の女、ままごと狂女お浦を伴い、これを功に帰参願いたく……」