轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页

青空文庫

「逢って、さて、どうなさいます?」

円い鼻、円い眼、おでこの額、よく喋舌る薄唇、顔の道具は綺麗ではないが、腹が綺麗で追従気がなく、それで熊太郎に愛されている男、それが清三郎という男であったが、そう云って熊太郎の顔を覗いた。

「逢って、さて、話すのさ」

「話してそれからどうなさいます?」

「その男の腹を窺うのさ」

「腹を窺う? 腹を窺う?」

「どういうつもりで田沼殿への駕籠を、何んと思って奪ったかとな?」

「進物駕籠でございますから、いずれその中には高価で珍奇な物が、入れてあったことでございましょうよ、そいつが欲しくて奪いましたまでで……」

「と単純に物を考える、だから幾年剣術をやっても、お前という人間物にならない」

「と早速お小言ですか」

「小言を云わないで抛って置いてご覧、お前という人間一人歩きさえ出来まい」

「烏の啼かない日和はあっても、先生の口から小言の出ない日和、まずもってあるものじゃアございませんな」

「嬉しそうにお前が聞くからよ」

「嬉しそうに先生がおっしゃるからで」

「お前への小言がなくなったら、毎日寂しいことだろうよ」

「今日はどんなお小言が出るかと、実は私としては心待ちに、毎日待っておりますので」