轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

04 火の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页

青空文庫

――そして。

武蔵はまだ嬰児で色の白い三十ぐらいな女の人に抱かれているのだった。――その女の人が自分の母であると嬰児の武蔵には分っていて、乳ぶさにすがりながらその人の白い顔をふところから幼い眼が見上げている――

つらやな

つらやな

母なかせ……

自分を揺りながら母は唄っているのである。面やつれしている品のよい母の顔は、梨の花みたいに仄青かった。長い石垣には、苔の花がポチポチ見え、土塀のうえの梢は黄昏れかけていて、邸のうちから燈火がもれている。

母の二つの眸から、ぽろぽろと涙がこぼれ、その涙を、嬰児の武蔵は不思議そうに見ているのである。

――出てゆけっ。

――郷家へ帰れっ。

父の無二斎のきびしい声が家のうちからひびいて来るのだったが、その姿は見あたらない。ただ母はおろおろと、邸の長い石垣を逃げまわり、果ては英田川の河原へ出て、泣き泣き河の中へざぶざぶ歩いてゆく。

嬰児の武蔵が、

(あぶない、あぶない)

と、母にその危険を教えようとして、ふところで頻りにもがくのであったが、母はだんだん深い淵へ入って行き、暴れる児を、痛いほどひしと抱きしめて、濡れている頬をぺたりと児の頬へつけて、