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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
駕籠は宙を飛ぶ
それは人々の鑑識次第――しからばいよいよ貴殿には、どうでも同道致されぬ気か?」
「武士に二言はないと云うに!」
「しからば遠巻にいたすまでじゃ!」
「遠巻に巻いてなんとする?」
「貴殿の神気の疲労を待って、担いでなりと同道いたす!」
「山賊らしい行り方じゃの!」
「卒直に承引されぬからじゃ」
「手ぬるい事をするよりもいざ太刀を抜いて勝負せい!」
「傷をつけては趣意にもとる。ただ疲労を待つばかりじゃ」
「さてさて情を知らぬ奴! 屈竟の武士が賊どもに捕虜にされて、尚おめおめ生きているものと思いおるか! 捕えられた時は死ぬ時じゃ! 腹かっ裂いて死ぬ時じゃ!」
「腹かっ裂く隙も与えず、我らは貴殿を捕えて見しょう」
「腹切る隙がないならば舌噛み切って死ぬまでじゃ」
「舌を噛むとか! 婦女子のように? いやいや我らはその隙をさえ与えぬつもりでおるのでござる」
右門はヌッと立ち上がった。そうして刀を引き抜いた。
駕籠は宙を飛ぶ
右門が刀を抜くと見ると、武者之助も手下の者どももそりゃこそとばかりに後へ下がり、再び森蔭へ隠れ去った。
右門はまたもグッタリと疲労れた体を棄てるように松の根方へ持って行った。