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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
雪のように白い長髪を肩へ深々と垂れ下げた、棗のような赧い顔の、獣の皮と木の葉とで不細工に綴った着物を着た、仙人のような老人で、いつも藜の杖をついて、静かに歩いて来るのであった。
そして老人の背後には、大きな袋を重そうに担いだ十一、二歳の少年が、これも静々とついて来たが、やっぱり獣皮と木の葉で作った奇妙な筒袖を纏っていた。少年の担いでいる袋の中には、食物が充ち充ちているのであって、道々老人と少年とは、袋から食物を取り出しては餓死にしそうな女や男へ、平等に分けてやるのである。
饑えた城下の人々は、毎日あらわれるこの二人を、神の使者とも思っていた。そして二人の姿が見えると皆一斉に手を合わせて、念仏や題目を唱えるのであった。
城下の人々は毎日のように、二人があらわれる時刻になると、あらわれそうな道筋へ先を競ってあつまった。しかし不思議にもその二人は、城下の人々の期待を裏切って、とんでもない場所へあらわれた。そして一人へ一個ずつ握り飯を分けてくれるのであった。不思議なことにはその握り飯は形が小さいにもかかわらず一つ食べると腹に充ちた。そして元気が恢復する。