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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
のお住居まで参上致し訪ねましたるところ、都の騒乱をおいとい遊ばし、行方も知らず旅立たれたと近所の人々の本意ない言葉にお慕わしさ一層まさりあくまでもお行方を訪ねんと、諸国を巡っておりますおりから、信州伊那の高遠に不思議の老人ありと聞き、もしやと存じて来て見ますれば紛う方なき訪ねるお方、失礼な事とは思いながらお後を追従けて参りました。あわれ願わくば微衷にめでて弟子の一人にお加えくだされ、幻妙不思議の忍術の一手お教え置かれくださいますよう、常陸お願い申し上げます」
「ふうむ」と老人は眼を閉じて常陸の言葉を聞いていたが、「それほどまでのご執心老人過分に存じ申す――こなた石川五右衛門殿の、お心持ちはいかがかな?」
「はッ」と、五右衛門は眼を見張り、「某も全くそれと同じく、北陸加賀におりますうちからご尊名絶えず耳に致し男子と産まれた果報には、その忍術の一手なりとお教え受けて覚えたく、わざわざ故郷を出立し京師を目がけて旅をつづけ大原の里をおたずねすれば……」
「この老人の旅立った後。それゆえ老人の後を追ってここまで参られたと申されるか」
「いかにもさようにござります」