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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「手並みは見えた、五分と五分じゃ、一緒に太刀を納めようぞ」

二人は左右に飛び違い、刀をパッチリ鞘に収め、そのまま顔を見合わせた。

「優れた手並みを見せ合うたからは、さっきの敵は今の味方、かえって懐かしく思われ申す。いかがでござるな、この神の前で太刀打ちしたを縁として、お互いの名をなのり合い、義兄弟の約を結ぶというは?」

「なるほど」と、凛々しい若い声で、武者修行の武士は答えたが、

「恨みがあると云うではなし、和睦しようとならば和睦もしよう。義兄弟の約を結ぶことは、互いに素姓を明かした上で、また改めて致すと致そう」

「しからば拙者から名のり申す」浪人者はまず云った。「主人を持たぬ気安い身分、すなわち天下の浪人者、ただし、義を結んだ兄のために四方に人材を求めようとこうして諸国を歩くところの、石川五右衛門とは拙者のこと、いささか忍術の心得もござる」

「石川殿と申されるか」

武者修行の武士は頷いて、

「しからば拙者も名のり申そう、これでも拙者は主人持ち、すなわち、木曽家の家臣にして花村右門と申すもの、父甚五衛門の内命を受け、今年の春の終り頃、落花と共に家を抜け出し、ひそかに四方に遊説して、一能あるものとは義を結び、父の手もとへ送りやり、窃かに父が扶持するもの、今日までに数十人、しかるに未だ一人として忍術の心得あるものなし。