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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
またもや五右衛門
「いかにもご主人の仰せの通り、広い日本の諸方には、眼を驚かすような武芸者が、幾人か覇を競うておりまする」
「たとえば北条の身内にて、鮎川天九郎一羽斎、武田信玄の家臣では、天目八兵衛馬之丞、松永弾正の郎党には、十文字刑部鋭鎌介、これら一方の旗頭に皆々お逢いでござろうな?」
「そういう方々にも逢いましたなれど、我らが主として逢いましたるは、主人を持たぬ人々でござる。数えて申せば関東にては、すなわち、上泉伊勢守、また信州の方面にては、八ヶ岳の麓に閑居する鉄砲の名人として世に名高き、三羽烏玄々斎。その他数々の人でござる」
「伊那高遠のほとりに住む、忍術の達人百地三太夫、この老人にも逢われましたかな?」
またもや五右衛門
「逢いたく存じて参ります途中、諏訪にて計らずある人と逢い、そのため百地三太夫殿にお逢いする必要なくなりましたる故、差し控えているところでございます」
「噂によれば百地老人は、すでに高遠にはござらぬ由、わざわざ伊那まで参られんで、かえってよいことをなされました」
こう云うと若衆はどういう訳か、ニヤリと苦笑を頬に浮かべた。すると山尾がそれに連れてやはり苦笑を浮かべたのである。