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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「いやいやその話は少し違う。忠義無類の花村様、なんで主命を拒絶るものか。謹んでお受けをしたそうだ。正しくはお受けはしたけれどそれと同時に花村様は一つ条件を出されたそうだ。条件というのは他でもない。お館に取って不為を働く側女鳰鳥の首を打つか木曽から彼方へ放逐するか、いずれか一つ執行うように……これさえお聴き入れくださるなら伊那と冠者の軍勢なんどたとえ百万押し寄せて来るともきっと打ち払ってお目にかけますと、このように申し上げたということだが側室の色香に迷い切っている義明公にはお聴き入れなく、主命を拒む不忠者を成敗いたすという訳で今日にも討手を差し向けて花村様のお屋敷を取り囲もうという大騒動。両方に敵を受けながら内輪揉めさえ起こっては木曽家の運も下り坂さ」

「いよいよ討手が向かったとして、主人の討手を相手にして花村様ともあろうお方がよもや合戦はなさるまい」

「それじゃ何かね、あの器量人の、花村様ともあるお方がおめおめ首を突き出して殺されようとでもおっしゃるので?」

「なんのなんのあの智恵者がそんな馬鹿な目に自分から好んで墜ち入ろうとは思わぬが、しかしこれまでの忠義を捨てて主人の討手に刃向かうような不忠者にもなりますまい」