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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

それは何かと申しますと、我らの属する浪人組を殿が軽々しく扱われることじゃ。浪人組に属する者はいずれも一流の武芸者ばかり、一流の達人でなかったならば浪人組にははいれぬ道理、それを殿には雲助の武兵衛を、何かの達人とでも覚しめしてか浪人組へ加えようとなさる。なるほど、病魔を追い払ったことは多少の功にはなりましょう。が、元来それは医者の仕事で、武芸者のすることではございませぬ。元来医者は長袖と申して武辺の相手にはならぬもの。一口に申せばただの雲助、高く買っても長袖の医者。これが武兵衛の本身でござる。それを誉れある苗木城の浪人組に加えようとは殿にも似合わぬ不覚千万。それとも武兵衛に何流であれ武芸の秘伝でもござるとなら、この場で拙者立ち合い致して手並み一応拝見致そう。それがならぬと仰せあるなら、殿の仰せであろうとも武兵衛を組に差し加えること我ら断じて不賛成でござる」

いくらか酒気さえ帯びながら、滔々と論ずる玄斎の言葉。

一座悉く白け渡りさすが聡明の甚五衛門もただ渋面を作るばかり、どうすることも出来なかった。

物凄い狼の唸り声

雪降り積もった木曽街道を、はだか武兵衛は裸体のまま息杖を片手に持ちながら何んの苦労もなさそうに北を差して悠々と歩いて行く。