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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

隠れて見ていた東条数馬には、その一隊の人間どもの、正体が見当付かなかった。しかし見たところ殺伐でもなく、兇悪の者とも思われないので、里へ行く道でも聞こうと思い、行手の山路へ現われ出た。

「これこれ、その方達は何者だ」

まず出し抜けに声をかけた。驚いたのは彼らであった。キャッと叫んで女子供はバラバラと後ろへ逃げ帰る。男達もすくなからず仰天し、そのまま、杭のように突っ立って数馬の顔ばかり見守っている。数馬はかえって可笑しくなって、愛嬌笑いを顔に浮かべ、

「拙者は怪しい者ではない。道に迷った旅の者じゃ。そち達いったい何者なのじゃ?」

ようやく安心したと見えて、彼らはにわかに元気づいた。

「旅のお方でござりましたか。そうとも知らず、こんな山中の、こんな真夜中にたったお一人で、それもお若いお侍様がニョッキリ道へ出なすったので、てっきり化物と思いまして、ほんとに冷汗をかきました――ハイハイ私達でございますか、他でもございません。香具師でござんす」一人の男が進み出て、きわめて能弁にこう云った。

「何、香具師とな? ハテ香具師とは?」

「つまり見世物師でございます」

「ハハア、なるほど、見世物師か。