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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「お前達には聞こえぬと見える。あの黄金どもの泣き声が……」
「そんなものが聞こえてなるものか。ところで黄金の匂いというのは全体どんな匂いなのじゃ?」
「それは小気味の良い匂いじゃよ。一度その匂いを嗅いだ者は、一生涯忘れることは出来ぬ。それは素敵もない匂いなのじゃ……おおまた聞こえて来た、聞こえて来た」
丑松は地面へ耳をあて何か聞こうとでもするように真面目の顔をするのであった。
それがまた坑夫達には可笑しいので、声を揃えて笑いながら口々にやはり挑戯うのであった。
「いったい何が聞こえるぞ? 今も云った黄金の泣き声かの?」
「黄金が泣くとは面白い、是非とも俺らも聞きたいものじゃ」
すると丑松は地面からキョトンとした顔を持ち上げて坑夫達を一人一人眺めたが、
「黄金や銀が地の下から早く掘り出してくれと云うて泣いているのが解らぬかの? これが解らぬとはヤクザ者じゃ。坑夫など早く止めるがよいわ。俺にはちゃんと解っている! 気の毒のものじゃ気の毒のものじゃ! 思うさま泣くがよい泣くがよい! その内俺が掘り出してやる! そうとも泣くのがもっともじゃ! 土の下から掘り出されて使って貰いたさに泣くのであろう。