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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

その鶯が遥々と我らの恋を祝福しに飛んで参ったかもしれませぬ」

「ほんにそうかも知れませぬ。その鶯を外国のお方はナイチンゲールと呼ぶとやら」

「今宵もどうぞオースチン師にお目にかかって参りたいものじゃ」

「おっつけお見えになられましょう」

「あのお方様のお話の中には、我らの不浄の心持ちをお清めくださる不思議な力が籠っているのでもござりましょうか、黙ってじっと聴いている中に自と心が清らかになり、光明世界に上ったような気になり申す」

「それに私ども二人の恋を無事にお守りくださるのもあのお方様ではござりませぬか」

「あのお方様のご保護がなくば、仇敵同志のこの二人の、こういう逢瀬は思いも寄らぬ……や!」

突然、静かな恋語のこまやかな空気を突き破って剣戟の音が轟いた。暗黒であった谷の底ににわかに松火の光が射し、その辺りから山へかけて合図の号笛が鳴り渡り、

「神保帯刀様ご嫡男、同姓市之丞様に物申す。いざ尋常にご覚悟あって、その御手背にお廻わしあれや!」と大音に呼ばわったものがある。

オースチン

「浮雲いところでござったよの――しかし老人が参ったからは心配のことはもはやござらぬ。